イベール

世界文化の融合?山田和樹さんと日フィルの東京定期

2017/9/9(土) 16:00 サントリーホール
日フィル 第693回 東京定期演奏会

ブラッハー   パガニーニの主題による変奏曲 op.26
石井眞木    遭遇Ⅱ番 op.19
イベール    交響組曲《寄港地》
ドビュッシー  交響詩《海》

指揮    : 山田 和樹


ジャポニズムがフランスのドビュッシーに影響を与え、
ドビュッシーの好んだ全音音階はアメリカのジャズに影響を与え、
ジャズがドイツのブラッハーの曲に織り込まれる。

日本人作曲家の雅楽とオーケストラのための音楽が欧米で演奏される。

音楽って世界の文化を融合しながら進化してるんだ。
こんな話をプレトークで聴くと、今日の演目の凄さを感じてしまう。

聴きなれた名曲を聴くのも楽しいけど、
え?こんな演奏ありなの?とか、なんだこの曲!?とか、
意外性との出会いも演奏会の魅力のひとつ。
そういう意味で「遭遇」は久々に刺激を受けた。

西洋音楽が一所懸命に雅楽に歩み寄ろうとしているけど、
結局ひとつの音楽にはなり切れなかった。
好きか嫌いかと訊かれれば嫌いですね、と答えるけど、
音の意外性と緊張感に眠さを忘れてすっかりのめりこんでしまった。

雅楽の不協和音は自然界の音に近い心地よさを感じたのに対して、
オーケストラの不協和音は
不安や不快などネガティブな感情を思い起こさせる。
乱暴な西洋音楽が繊細な雅楽を嫌がらせしている。
そんな印象を持った。

日本人なのに日本古来の音楽を聴く機会があまりにも少ない。
そんな事実に改めて驚き、
それでも雅楽の心地よさを感じる日本人でよかったなあ、
と思う自分がいる。

フランス音楽は録音を聴いても心を動かされなくて、
学生の頃から頭の中でハテナマークがついたまま。
今日の演奏でもハテナマークはなくならないけど、
イベールもドビュッシーも惹きつけられるものがあった。

大きな波、小さな波。
山田さんが創る風景は印象派の絵のように頭で思い浮かべることができる。
モヤモヤしていなくてクリア。でも音は柔らかくて繊細。

小さなニュアンスがところどころに込められていて、
これが山田さんのドビュッシーか、と思う。

イタリア、北アフリカ、スペインと船から見る景色は
むしろ濃厚な原色で塗られたフォービズムの絵のよう。
今日の4曲の中でイベールが一番美しい演奏だったように思った。

bud

サントリーホールは今月からリニューアルオープンとのこと。
舞台の床も張り替えられ、マイクの音も聞こえやすくなった。
男子トイレの場所も変わった。
客席には手すりもついて背もたれの感覚もちょっと違う。

半年間都内のほかのホールで聴いた後に戻ってみると、
大きな残響と音の華やかさに改めて驚かされる。

一方で耳障りな音も感じて、
あれ?こんな音だったかな?
工事で音が悪くなったのかな?と思った。

妻は改装後のサントリーホールの音に不満げ。
せっかく寝に来たのに寝れなかったと。

演奏された曲のせいなのか、
本当に音が変わってしまったのか。
私もしばらく考えてみたい。

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