小泉和裕

小泉さんのブラームス

2016/6/11(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第681回東京定期演奏会

シューマン     ≪マンフレッド≫序曲 作品115
ブラームス     ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
ブラームス     交響曲第2番 ニ長調 作品73

指揮 :     小泉 和裕


初夏の日差しにブラームスの2番は合うと思う。色濃くなった木々の葉のイメージだ。ちょっと楽しみにして来た。

でも今日の演奏は「あれ、いつもの日フィルの音と違うな」と感じた。優しさより金属的、弦の音が硬い印象。

また特にシューマンでは散らかった机の上で仕事をしているような、雑然とした感覚があった。

ブラームスも、もう少し中低音がしっかりして渋めの音が好みだ。今日の演奏もそれなりにいいのかもしれないけど、新鮮な驚き、というのとも、ちょっと違った。

結局、今日の演奏は私に合わなかったのかな。
もしかしたら、インキネンさんや山田さんの音に慣れすぎたか。

考えてみるとインキネンさんも山田さんも、音がとてもキレイでロマンティックな演奏が多いと思っている。私はどちらも大好きな指揮者だが、傾向が近いおふたりが中心に作り上げていく日フィルではオーケストラの音の傾向が偏ったりしないのかな、とちょっと心配になった。私は好きになれなかったけど、今日の小泉さんのような音もあってもいいのかもしれないな、と思う。

私は知らず知らずのうちに、日フィルに求める音、日フィルがブラームスを演奏するときに求める音を持っていて、それに合わないと「よくない演奏」と思っているのかもしれない。音楽って知れば知るほど面白くなるけど、同じように思い込みも激しくなる。よいものをよいと感じる心を持ち続けるのは意外に難しいのかもしれない。

ちなみに妻の感想も面白かった。

「いつもの日フィルの音と違う」というのは同じだったけど、「ヨーロッパのオーケストラみたいな音」と感じたようだ。どちらかというとポジティブな印象。ちなみに妻はインキネンさんと山田さんの音はあまり好きではない。感じ方っていろいろだな、と思う。

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小泉さんの小倉朗とベートーベン

2013/12/7(土) 16:00~ サントリーホール
日フィル 第656回東京定期演奏会

ベートーベン 交響曲第2番 ニ長調 作品36
小倉朗    交響曲 ト調
ベートーベン 交響曲第7番 イ長調 作品92

指揮  : 小泉 和裕

第2番のスコアを買ってみた。楽譜を読む知識は中学生の音楽の授業とここ数年読んだ初心者向けの楽典レベル。

何種類かあるうち解説が多く書いてあった全音楽譜出版を選んだ。細かく解説された第1、第2主題、展開部や、転調の場所をスコアに写した。これで曲が理解できたような気がして聴きながらスコアを追ってみるのだがスピードについていけず、すぐ見失ってしまう。ようやく追えるようになって、今度はスコアなしで曲を聴いてみると記入したことが思い出せない。ああ、やっぱり自分には才能がないんだな、と諦めかけたが、徐々にスコアを見た時に頭の中に音楽が聞こえるようになってきて楽しくなってきた。最後にはスコアなしで曲を聴くと今度は書き写した注意書きが少しづつ思い浮かぶようになってくるのだ。演奏会までで第1楽章のみようやくこのレベルだ。加えて小さな旋律の塊が少しずつ変化しながらいろいろな楽器群に現れるのがスコアから読み取れ、いろいろな模様のついたレンガを積み上げた建物のようだと感じた。

そんなことをやっていてふと思いついたのが、絵画は2次元芸術、彫刻は3次元芸術だとしたら、音楽は4次元芸術、と言えるのではないかということだ。音楽は時間という第4の軸を学ぶことで初めて理解できるのかもしれない。絵画は立ち止まって観ているだけで徐々に理解が深まっていくが、音楽は決められたテンポに耳がついていかないと理解が深まらない。

その第2番のスコアを事前に読んで果たして演奏を聴いた感動が深まるか、というとまだまだその域には達していないようだ。唯一の成果は、第1楽章の繰り返し記号を無視したことが分かったことだ。スコアには呈示部(第1主題と第2主題)を2回繰り返すことになっているのだが、実際の演奏は繰り返されなかった。それはもしかしたら3曲すべてが交響曲という演目なので最初の演奏は軽く終わらせようという配慮かもしれないし、今の世の中繰り返さなくても理解できると判断したからかもしれない。

さて、スコアの話はここまでとして、今日のベートーベンの演奏で感動したのは2番も7番も中間楽章の2、3楽章だった。

7番の2楽章は特に美しかった。弦の各パートが徐々に重なり音の厚みが増していく感じは何とも心地よい。また弱音の時の弦の緊張感は素晴らしかった。最終楽章はなかなかの迫力とスピード感で楽しませてもらったがもう少し統一感のある演奏ができるはずだと思った。何となく各楽器群同志の音がバラバラに感じた。演奏後、演奏者の「あ~終わった~」という感じの疲れ果てた表情を読み取ったのは私の気のせいだろうか。テンポが速かったので演奏者はさぞかし大変だっただろう。

2番の2、3楽章で特に感動したのはオーボエの音。旋律の表現力が豊かで人の歌声のようにとても美しかった。また弦の音も美しくかつ重厚で安定感と安心感があった。

いままで中間楽章ってなんとなく軽く見ている傾向があったのだけれども、少なくとも今日の演奏では感動できた。これからもこういう発見があるとうれしいのだが。

小倉さんの交響曲は事前に入手することができず今日初めて聴いた。事前に聴けなかったのは残念、なんとなく消化不良気味。武満さんの曲は日本の自然の風景だとか歴史や伝統を思い起こさせる曲が多い気がするが、小倉さんの交響曲はそんなに深刻ではなく、どちらかというと日本の大衆文化を表しているように感じた。確かに聴きやすい曲で迫力もあり楽しませていただいたが、武満さんの曲と違って胸に迫るような日本の季節感や歴史の重みは感じない。妻に言わせると「映像を思い浮かべることができない」。

まあ、不満はあったけど7番のロックンロールでしめくくり、スッキリと帰ることができました。やっぱり生演奏は素晴らしい。pencil

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