« 山田和樹さんのマーラーツィクルス(第7番) | トップページ | 山田和樹さんのマーラーツィクルス(千人の交響曲) »

インキネンさんの「ラインの黄金」

2017/5/26(金) 19:00 東京文化会館
日フィル 第690回 東京定期演奏会

ワーグナー 楽劇《ニーベルングの指輪》
        序夜「ラインの黄金」

指揮: ピエタリ・インキネン


ワーグナー嫌いの妻に
「あきらめないで来てよかった」
と言わせた演奏だった。
休憩なしの2時間半。よく黙っていたものだ。

「ワーグナーって、エンターテインメント。
 スターウォーズみないたものね。」
「モーツァルトやプッチーニの方が
 よほど芸術性が高いと思う」
とも妻は言った。

耳に残るライトモティーフが
登場人物や風景、心情を描き出し、
今回は演奏会形式ながらも
色が印象的なライトの演出でさらにわかりやすい。
衣装も現代風で静かに演出を助けていた。

アリアもほとんどなく、ストーリー優先。
心情を吐露した歌も少ない。心をえぐるような歌がない。
(そこはちょっと不満です、ワーグナーさん)

ワーグナーは他のオペラとはちょっと違う。
そんな印象を私自身も持った。

今回なによりもすごかったのは歌手のみなさん。
海外勢、日本勢問わずスゴイ声量、迫力だった。
日本人は西洋人と比べるとまだまだという印象を持っていたが、
そんなことはなかった。

拍手が多かったのは、
アルベリヒ役のワーウィック・ファイフェさん。
そして一番は、
ローゲ役で代役を務めた西村悟さん。
私もこのお二人には拍手、拍手。

フロスヒンデ役の清水さん、
巨人役の斉木さん、山下さん、
ドンナー役の畠山さん、
フロー役の片寄さん、
日本人歌手、すごい。

今回、歌手のみなさんに魅せられてしまい、
オーケストラの印象があまり、ない。
冒頭のホルン、うまくいってよかったなぁ、
鉄床を叩く音も上品でインキネンさんらしいなぁ、
というところか。ごめんなさい。

逆に言えば、
それだけ歌手のみなさんと一体になった
総合芸術の世界を創り出していたということではないか。

もう一回聴きたいか、と言われれば、
妻と同じく、ノーです。
ワグネリアンにはなりません。

でも、
「ワーグナーのラインの黄金、全曲聴いた」
という達成感がある。

なんとなく、
ワーグナーの世界をかなり深くまで覗けた、
という満足感がある。

そんな演奏会でした。

最後に補足。
この演奏会に先立って行われた、
5月10日の東条碩夫さんのレクチャーがなければ
ここまで楽しめなかった。
こちらも濃厚な2時間でした。

bud

ユッカ・ラジライネン (ヴォータン)
リリ・パーシキヴィ (フリッカ)
西村 悟 (ローゲ)
ワーウィック・ファイフェ (アルベリヒ)
安藤 赴美子 (フライア)
畠山 茂 (ドンナー)
片寄 純也 (フロー)
池田 香織 (エルダ)
林 正子 (ヴォークリンデ)
平井 香織 (ヴェルクリンデ)
清水 華澄 (フロスヒンデ)
与儀 巧 (ミーメ)
斉木 健詞 (ファーゾルト)
山下 浩司 (ファフナー)

apple


_201705

|

« 山田和樹さんのマーラーツィクルス(第7番) | トップページ | 山田和樹さんのマーラーツィクルス(千人の交響曲) »

ピエタリ・インキネン」カテゴリの記事