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山田和樹さんのマーラーツィクルス(第7番)

2017/5/14(日) 15:00 オーチャードホール
山田和樹 マーラーツィクルス

武満 徹  夢の時
マーラー  交響曲第7番 ホ短調「夜の歌」

指揮 : 山田和樹
管弦楽: 日本フィルハーモニー管弦楽団

bud

「ようやく私の曲に時代が追いついた。
 この曲はあなたたちのことだ。
 21世紀を生きるあなたたちには
 セレナーデなんて存在しない、
 そうでしょ?」
と、マーラーさんが言うわけないけど、
私にはそう聞こえた。

恋人に愛を告白しようとしたら、
ケータイが鳴って上司から緊急の呼び出し。
愛の歌を唄っても、
廃品回収のクルマがスピーカーでがなりたてて聞こえない。
セレナーデなんてできやしない。
そんな第2楽章のセレナーデ。

恋人の住む窓辺で
ギターをポロロンと弾いても、
窓はサッシだしエアコンかけてて聞こえない。あーあ。
そんな第4楽章のセレナーデ。

受け狙いだろうか、
第3楽章は思わずニヤリとしてしまうが、
その第3楽章をはさんだふたつのセレナーデは恋人に届いているとは思えない。

最終楽章のあの底抜けの明るさは何だろう。

「あなたたちへのエールだよ。
 何も解決しない、何も完結しない、
 複雑怪奇な世の中だけど、
 まぁ、せいぜいしっかり生きなよ。」

私にはマーラーの声が聞こえる。

bud

山田さんは
「この曲ホント大変です!」
ってプレトークで言ってたけど、
それって自信の裏返しでしょ。

「7番は騒音の音楽です」と、
山田さんは(言わなかったけど)言うんじゃないかな。

次々と移り変わる風景、
飛び交う騒音、
それらを見事に音楽として演出してた。

1番で感じた「異化」の不思議な感覚から、
時代は21世紀に超越し、
現代の慌ただしい日常を不思議なくらい表現した。

私の中で名演と言えるものが増えた。
全くピンと来なかったこの曲に、
インスピレーションを与えてくれた。

おおくの聴衆もそう思ったに違いない。
拍手がなりやまない客席を見ながらそう思った。


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