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清水華澄さんのリヒャルトシュトラウス!そして山田さんのエルガー

016/9/3(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第683回東京定期演奏会

柴田 南雄 コンソート・オブ・オーケストラ
R.シュトラウス 4つの最後の歌
エルガー 交響曲第1番 変イ長調 op.55

指揮 : 山田 和樹
メゾソプラノ 清水 華澄


今日は何といっても清水さんのリヒャルトシュトラウスだ。声量があって表現も繊細で、詩の意味が分からなくても音楽はテレパシーのように伝わってくる。背筋がゾクゾクするでもなく刺激的でもないけど、身体の中からほんわりと温かくなるような演奏だった。演奏が静かに終わった後、温かいタオルでくるまれたように心も身体も癒されたように感じた。

定期演奏会に通っていると今回のような思いもよらない喜びがある。だからやめられないんだ。知名度やルックスではなく、実力があって私たちに刺激を与えてくれるような演奏家を連れてくるのも指揮者の力だと思う。そういう意味で清水さんの声を聴けたことは山田さんに感謝です。来年6月のマーラー8番でも清水さんの歌声が聴けるのが楽しみだ。

もちろん山田さんと日フィルの繊細で美しいオーケストラの響きが清水さんの歌声を支えていたのは言うまでもない。緊張感のある繊細な響きは日フィルのすごさではないかな、と思う。

R.シュトラウスはいままで積極的に聴いてきていないけど、和音に独特の癒しがあるように感じている。特にホルンの音がいつも心に残るのはR.シュトラウスのお父さんがホルンの名手だったからなのか、納得だ。今日のホルンは特によかった。先日、元ホルン吹きと話をさせていただく機会があり、ホルン演奏の大変さを知った。なんだかんだ言って、ちょっと控えめで優しいホルンの音が大好きな自分に改めて気づく。

50分超のエルガーを集中して聴いてしかも感動できたのは、R.シュトラウスで癒され脳が活性化されたからだ。演奏会としては理想的な流れではないかと思う。

特によかったのは2楽章と3楽章。特に3楽章の美しさについて山田さんは「死んでもいいと感じるくらい」というけど、私はそこまでとは思わない。なんだか煮え切らず男らしくない。今どきの日本の女子の方が貴方よりずっと勢いがあって男らしいですよ、とエルガーさんに言ってあげたいくらいだ。とはいえ山田さんの繊細さがよく感じられる演奏で満足だった。2楽章の最後は雰囲気がマーラーの交響曲に似ているような。

最後になってしまったが、柴田南雄さんの曲も悪くはなかった。学生のころ現代音楽といえばこういう曲だったよな、と思いながら聴いていた。きっとすごく綿密に練られた曲なんだろうと感じたが、不気味さしか思い浮かばないこの音楽でわたしたちの世界のいったい何を表現できるのだろう、と感じてしまうのは時代が変わったせいなのか、自分が歳を取ったせいなのか。気合いの入ったいい演奏だったし決して嫌いな曲ではないけど、今の時代に求められている音楽ではないのでは、と感じたのは私だけではないだろう。

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