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山田和樹さんのマーラーツィクルス 第4回

2016/1/30(土) 15:00~ オーチャードホール

武満 徹   系図 -若い人たちのための音楽詩-
       (語りとオーケストラのための)
  詩  :谷川 俊太郎
  語り :上白石 萌歌

マーラー   交響曲第4番 ト長調
  ソプラノ: 小林 沙羅

指揮   :山田 和樹

前半の武満といい、後半の4番といい、私にとっては、こんな素晴らしい演奏会の空気を味わえて幸せを感じる。

《系図》は、曲を聴く前になんと素敵な詩だろう、と感じた。オーケストラをバックに上白石さんから語られる詩は頭のなかでクリアに映像化され、それが美しい音楽に見事に融合した。「キレイ」な音楽とはいえ不協和音いっぱいだが、強く感情を揺さぶられた。標題音楽は苦手と、先週書いたばかりだ。それはともかく、今日の《系図》は音楽と頭の中の映像との見事なコラボレーションを味わうことができた。オペラにも通じるとも感じた。

語りを10代の若い女性、上白石さんにこだわった山田さんの気持ちも少しわかった気がする。いい詩でいい曲で、いい語りでいい演奏だった。

4番は、他のマーラーの交響曲に比べて馴染めない曲だった。派手さがないし、あの鈴の音と諧謔性で馬鹿にされている気がして、どうもひいてしまっていた。私にとってはそんな4番だけど、今日の演奏くらいドキッとするのは珍しい。

美しさと諧謔性、古典と現代、静と動、そんな対比が見事に表現されていたと思う。特に第1楽章が素晴らしかった。第1主題とそれに続くメロディはどれも古典的なイメージが強調され、山田さんらしい美しい演奏であった分、次々と現れては消えるため酔いきれない。マーラーの思う壺だ。これが「異化」か、と実感できた。

第3楽章は大好きな山田節が光る。日本人らしくて、繊細で、しかもベトベトしてない。毎度日フィルの弦が美しいのは感じるが、山田さんの指揮ではなんともいえないロマンティックな香りが強くなる。一方で繊細な微弱音を息を止めて聴いていると、突然の大音量で緊張感をぶち壊され、ここでも「異化」を実体験だ。

4楽章のソプラノも美しさより諧謔性を強調し曲全体をより引き締めたように感じた。私は最終楽章があっけなく終わってしまうように感じるが、これもマーラーに「してやられた感」があり、今回ばかりは小気味よく感じた。

来月の5番、山田さんはアダージェットはどんな風に演奏するのかな。とても楽しみだ。

行けるかどうか。
行けますように。
希望は捨てない。sprinkle

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