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大友さんと日フィルの第九

2015/12/19(土) 18:00~ 横浜みなとみらいホール
日フィル 第313回横浜定期演奏会

G.ロベルト  トランペット協奏曲《Tokyo Suite》
ベートーヴェン 交響曲第9番《合唱》

指揮    :大友 直人
ソプラノ  :青木 エマ
アルト   :小川 明子
テノール  :錦織 健
バリトン  :宮本 益光
合唱    :東京音楽大学

トランペット:オッタビアーノ・クリストーフォリ

都合で東京定期からの振り替えで久しぶりの第9を楽しむことになった。私にとっては新鮮な第九だった。

前半はトランペット協奏曲。ずいぶんぜいたくな演目だ。

何と透明感のある曲だろう、というのが第1楽章出だしの感想。曲のせいか、指揮のせいか、ホールのせいか、わからない。聴きやすくて、これが今の時代の現代音楽だな、と感じる。かつての理屈っぽくて変拍子で不協和音バリバリの曲より親しみやすくていい。

曲の印象はよかった一方で、1、2楽章はトランペットのノリが少し悪かったように感じた。いつものオッタビアーノさんらしくない印象。オーケストラにおいてけぼりになっているというか。2楽章は確かに、美しい。

3楽章は原宿をイメージしたとのことだが、それよりはメリーゴーランドを連想した。楽しい曲だった。

全体的にいい曲だとは思ったが、「Tokyo Suite」というほど「東京」をイメージできる音を感じにくかった。でも伝統的な和音やメロディーを用いることだけが日本を表現することでもないだろう、とも思う。
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考えてみると第九を聴くのは久しぶりだが、日フィルの第九は本当に久しぶり。前回は、こばけんさんの演奏だった。大友さんの演奏は全く逆の印象で、知性的で冷静、ここで感動してください、という押しつけ感もなく安心して聴くことができた。

まるでモーツァルトのよう。音が丁寧、安心して聴ける、知的で各楽器がきちんと演奏することで全体の音楽を構築しようとしている、そんな印象。

音楽が重々しくなく軽やかで、特に2楽章などモーツァルトのようだなと感じた。楽器ひとつひとつの演奏を勢いでごまかすのではなく楽譜通りに丁寧に演奏することで全体の曲が構築されているような印象だ。だからこそ曲全体の透明感を感じ、そういうところにモーツァルトを感じたのかもしれない。

全体的には金管が目立つ演奏だな、とも感じた。弦が目立つところは目立っていたけど、聴こえ方が自分が耳馴れている第九と違う印象を持ったところが多かった。

そういえば2楽章のオーボエは全体の中でも特に印象深かった。ニュアンスというのか、音がまるで人が話しをしているようで。4楽章最初のチェロとコントラバスの旋律も表現が豊かだったな。

合唱は若さのせいか、とても瞬発力のある声だった。大友さんもそこを強調していたようにも感じる。パンパンパンとはじけるように出てくる音から元気をもらった。ありがとうございました。

ソロの歌手の中ではバスの宮本さんの声に感動した。最初のソロのところの登場感がすごかった。オーケストラに埋もれることなくスゴイ声量だった。反対に錦織さんはもういいです。迫力を感じない。若手のやる気ある人の声が聴きたいなと思う。

今回は妻もよく似た感想を持った。それでも言葉にするとこんなに違うのか、と思いそれがまた面白かった。以下は妻の言葉。
「ウィーン風の第九だね。弦楽器は弓の当たり方が軽やかで引き上げられる感じ。でも音はしっかりしててそのバランス感がすごい。」
「1年を振り返るのではなく、来年はどんな1年になるかな、って希望を持たせてくれるような演奏だった。いままでこんな気持ちになったことない。」

全体的には、合唱もオーケストラも完成度が高いということはなかったのかも知れないけど、感動するというのはまた別次元なんだろう。私たちにとってはいい演奏会でした。

ところで、年末のこの時期は日フィルも連日第九の演奏会なのだが、指揮者は大友さんとこばけんさん、合唱もいくつかの団体が混在し、ソロの声楽家もさまざま。こんな状況でどうやってリハーサルして音作りするのだろうか。指揮者2人が一緒にリハーサルに来て、「こばけんさんがこうやるなら、私はこういう風に」なんて、相談しながら?まさかね。テンポも作り方も全く違うのだろうから混乱しないのかな、なんて思った。余計なお世話か。
pen

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