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インキネンさんのブラームスとブルックナー7番

2015/4/25(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第669回東京定期演奏会

ブラームス  ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 作品15
ブルックナー 交響曲第7番 ホ長調(ハース版)

指揮  : ピエタリ・インキネン
ピアノ : アンジェラ・ヒューイット

プレトークの舩木さんがインキネンさんの演奏について、「ノーブル」という言葉を使った。高貴な、とか、高潔な、という意味で使われたのだろうが、私がインキネンさんの演奏に感じていることを一言で言い表していると感じた。カタカナだとわからなくなることが多いけど、「ノーブル」という言葉はぴったりだと思った。ブルックナーを聴く間、何度もこの言葉が頭をよぎった。

ブルックナーは心の底から気持ちよくなる演奏だった。やったーnoteって感じだ。微音の緊張感があり、それぞれの楽器の音が独立してはっきり聴こえ、美しい。強奏でもうるさくない。最初から最後までハイレベルだった。インキネンさんの演奏だなぁ、って感じた。この場にいれて本当にうれしかった。

今回のブルックナーはいくつも発見があって面白かった。

第1楽章の出だしのトレモロの緊張感と言ったらない。意外にも室内楽のような素朴な美しさも持ち合わせた楽章だった。

第2楽章の美しさ。弦の重なり、ワーグナーチューバとホルンをはじめとする金管の音の素晴らしさ、ベルヴェデーレ宮殿から見たウィーンの景色を思い出す。すぐ近くにブルックナーの住んだ家があったなぁ。

第3楽章は、息をのむような緊張感の第2楽章から解放されて肩の力を抜いて聴くことができた。しかし中間部がこんなに美しいとはビックリした。

第4楽章で印象的だったのは、ずっしりとテンポを落として演奏された第3主題。重厚感が胸に響いた。確か第3主題の後もそうだったけどところどころで少し長めにポーズをとってホールに響く残響を楽しむ時間を与えてくれた。食後のデザートに冷たいアイスクリームを出されたようにすがすがしい。

改めてインキネンさんと日フィルを惚れ直した1曲だった。
最後もインキネンさんの手が下りるまで客席の沈黙は保たれた。
好い演奏は客席にも緊張感を伝えるものなのだ。

反対にブラームスは残念だった。

ピアノのソロが第1楽章から音を何度も外すので、聴いているこちらの緊張感が持たない。眠くなってしまった。とはいえ第2楽章は美しくとろけた。若いブラームスの情熱を感じる演奏だった。しかししかし、「ブラボー」はないだろう。演奏終了後に憮然として妻に言うと、そういうと思った、と言われた。妻はそれほど嫌ではなかったらしい。感じ方は人それぞれだ。

3年前のラザレフさんと河村尚子さんの同曲の演奏が忘れられない。あー、もう一度あの演奏が聴きたい。演奏会って、一期一会だなぁ。

今回もWikipediaの楽曲の構成欄で各楽章の構成を頭に入れておいた。特にブルックナーは長い長い演奏をいくつかのブロックに区切っておくことでずいぶん理解が深まったように思う。終着駅にいつ到着するかわからないまま電車に乗るのは不安だけど、終着駅と途中駅の到着時刻を知ることで自分の旅の全貌が見えてきたりするものだ。shoe

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