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ラザレフさんのショスタコ ピアノ協奏曲と交響曲11番

2015/3/21(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第668回東京定期演奏会

ショスタコーヴィチ ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 作品102
ショスタコーヴィチ 交響曲第11番 ト短調 作品103 《1905年》

指揮  : アレクサンドル・ラザレフ
ピアノ : イワン・ルージン

前半はキラキラと華やかな、後半はずっしりと濃厚な、とても充実した演奏会だった。毎度ラザレフさんには緊張感のある素晴らしい演奏に感謝です。

プレトークの奥田佳道さんによると、ピアノ協奏曲と11番の頃のショスタコーヴィチはシンプルな音でもいい曲が作れると考えていたとのこと。今日の2曲を聴いてその通りだと思った。

ピアノ協奏曲はピアノとオーケストラの息も合い、バランスもよく、その中でルージンさんのピアノが美しく軽やかで好感だった。バリバリと力強いわけでもなく、すっぱりシャープな感じでもなく、どちらかというともっこりマイルドな印象を持ったが協奏曲全体ではとても心に響く演奏だった。アンコールのバッハ(管弦楽組曲のピアノ編曲版)をロマン派のように弾いてしまう感性にも若さとエネルギーを感じた。

客席の拍手が鳴り止まないのが演奏の素晴らしさを物語っていたと思う。いい演奏は聴衆の心に直接届き、会場全体の雰囲気を盛り上げるな。

一方で11番は演奏が終わった後、音の塊が重りとなって胸にずっしりと居座った。なんと凄い曲を創ったのだろう、ショスタコーヴィチは天才だ、と初めて思った。題材となった1905年の事件について詳しい知識はないけど、音楽を聴いていると労働者の行進や虐殺の光景が目に浮かんでくる。事前に録音を何度も聴いていたけど生の演奏でこそ伝わってくる迫力がある。ハッピーな気持ちで席を立つことはできなかったけど、そんな演奏に立ち合うことができてよかった、と思えた。

楽章が進むごとに演奏もよくなってきたように思うが、どの楽章も感動的だった。3楽章の最初の葬送行進曲のヴィオラの旋律がとても小さく繊細さが引き立ったし、2楽章、4楽章の盛り上がりも迫力満点だった。今回の演奏はただただ美しい音なのではなくて事件の凄惨さを表現するためか、おどろおどろしい音を感じ、しかも雑ではなく、ラザレフさんと日フィルの表現力の広さに驚いた。

オーケストラはというと、弦の重厚さや緻密さはいつもの通り素晴らしかったが今回は演奏会通して管楽器のソロに拍手。毎度のトランペットはもちろんのこと、ホルンには参った。ピアノ協奏曲も11番も大きなミスなくキレイな音を聴かせていただいた。11番でのイングリッシュホルンも美しくうっとりだった。

12年前のラザレフさんと日フィル初共演の時の11番はいったいどんな演奏だったのかと思いを巡らすが、今回ほどではなかったろう、と勝手に思っている。

bell

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