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山田和樹さんのマーラーツィクルス 第1回

2015/1/24(土) 15:00~ オーチャードホール

 

武満 徹   オリオンとプレアデス
マーラー   交響曲第1番 ニ長調 《巨人》 花の章付き ※1893年ハンブルク稿

 

指揮  : 山田 和樹
チェロ : 菊地 知也

 

今日は山田さんが表現したいことが少し理解できた気がして、うれしかったな。

 

山田さんはプレトークなどで作品や自分の演奏について、よく話してくれる。指揮者はあまり語るべきではない、という考えもあるのかもしれないが、私にとっては音楽に対する理解を深める貴重な機会だ。

 

今回初めてハンブルク稿を聴いてみて、5楽章構成だからこそのマーラーを感じた。1、2楽章の青春の心の傷み、3、4楽章のちょっとふざけた感じを経て、5楽章でまとまるのはマーラーの音楽としてしっくりくる。

 

山田さんの指揮はロマンチックな前半とシニカルな後半の対比が強調されているようで面白かった。1番をこういう観点で考えたことはなかったので新鮮だった。

 

特に後半の4、5楽章はニタリとしたりゾクゾクしたり。

 

4楽章(葬送行進曲)では酔っぱらいのような気味悪い動物が次々と葬列に加わってくる。山田さんのつっかかるような指揮が愉快。自分まで前のめりになる。コントラバスのソロも素敵だ。

 

5楽章では前楽章の回想などでのテンポの変化もカッコよく決まっていて、オーケストラと指揮者の一体感がある。

 

2、4、5楽章の静かな部分はとても美しく繊細、緊張感がある。指揮とオーケストラの素晴らしさによるところが多いのだろうが、山田さんのいう通り静かな部分こそがマーラー音楽の面白いところか。

 

マーラーは「いつか自分の時代が来る」と言ったそうだが、ひとつ間違ったとしたら、1番を4楽章構成にしたことだ。もっとハンブルク稿での演奏が増えないかな。

 

久しぶりのオーチャードホール、3階席だったのでいつものサントリーホールでの定期演奏会と比べて遠い遠い。音も向こうの方で鳴っているようで迫力も違うし、演奏者の熱気も伝わってこない。音の反響も地味。だからそういう観点でサントリーホールで聴く演奏とは比べられない。

 

正直、遠さゆえの物足りなさは感じた。私は指揮者や演奏者の迫力とか息づかい、指揮者の表現したいことが演奏者に伝わったこと、その辺りから感動するんだろうな、と改めて自覚した。やっぱり席は近くないと。

 

マーラーを聴くきっかけになった、インキネンさん指揮の1番と比べるのは難しい。当時と経験も知識の量も違うしホールも聴いている場所も違う。でもどちらにも共通しているのは、演奏の繊細さと美しさだ。そのなかでそれぞれ違う良さがあり、どちらも感動的だ。

 

武満の曲は爆睡。残念。

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