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小澤さんと水戸室内管弦楽団のモーツァルトとベートーベン

2014/5/27(火) 19:00~ ミューザ川崎シンフォニーホール
水戸室内管弦楽団 川崎公演

メンデルスゾーン 弦楽のための交響曲 第2番 ニ長調
モーツァルト   オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314
ベートーベン   交響曲第7番 イ長調 作品92

指揮    : 小澤 征爾
オーボエ  : フィリップ・トーンドゥル

ステージ上手側横の席を奇跡的にとることができ、素晴らしい演奏を楽しませていただいた。

しかしなんと、一番感動したのは指揮者なしのモーツァルト。各楽章出だしの緊張感はただものではなかった。ステージに吸い込まれるかと思った。オーボエのなんと甘く切ない音。出だしから鳥肌が立つ。指揮者がいないことで逆にオーケストラとソロ演奏者の一体感が強くなる感じ。さらに小さいオーケストラだからか、ソロとオーケストラのかけあいがまるでお話しているよう。オーボエもオーケストラも音がとても美しく軽やかで、あぁ、もしかしたらモーツァルトの真髄を掴んだか!?な?と一瞬うぬぼれた。いやしかし、こんなにモーツァルトに吸い込まれたのは初めてだ。そして演奏の完成度はただものではない。超越的プロフェッショナル集団?

小澤さんのベートーベンは驚きと発見が多かった。ダントツは3楽章。こんなに面白い曲だったのか、と初めて知った。聴き慣れている録音とは別の曲のようだ。何が違うのか説明できないのが歯がゆくくやしいが、いつも退屈な3楽章なのに。それから2楽章。あぁ、小澤さんと同じ日本人でよかったな、と思った。あの切ないフレーズにさらに緻密で高度な表現が加えられている。大きな板に掘られた大胆な彫刻に感動してさらに良く観たら、見えないくらいの細かい手の込んだ細工が施されていたことに気がついた。そんな印象。

もっとさっぱりした演奏が好きな人もいるかもしれない。もしかしたらこんなベートーベンはイヤ、っていう人もいるかもしれない。でも、じゃあお前演ってみろよ、と言われて同じようにできる人はいないのだろう。 小澤さんの演奏の素晴らしさってここにあるのかもしれない、小澤さんの真髄を掴んだか!?な?と一瞬うぬぼれた。もしかして勝手な想像だけど、カラヤンも同じような細かい手の込んだ彫刻を彫る人だったのではないか。

それにしても3楽章から休まず続けた超特急の4楽章、カッコよかった。またそれをさらっと弾くオーケストラのメンバーはなんとまあすごいこと。きっと予定では前の楽章同様、小澤さんの体調を考慮し、しばし休みを入れる予定だったのだろう、それを続けて演奏し客を喜ばせようとする小澤さんのサービス精神なんだろうな。

楽章間で椅子に座った小澤さんは糸を外したマリオネットのようで少し切なくなった。素晴らしい演奏をありがとうございました。

メンデルスゾーンはいまいちピンとこなかった。初めてのミューザ川崎で音の反射の大きさが気になってしまった。反響の強さはサントリーホールと同じくらいではないか、と思うけど同じ厚化粧でもちょっとそそられない印象を受けた。そっちの方が気になって音楽に集中できなかったこともあるがやはり演奏としての魅力はモーツァルトとベートーベンに比べて少なかったように思う。

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