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ラザレフさんのスクリャービン「ピアノ協奏曲」とショスタコ「7番」

2014/3/15(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第658回東京定期演奏会

スクリャービン    ピアノ協奏曲
ショスタコーヴィチ  交響曲第7番《レニングラード》

指揮  : アレクサンドル・ラザレフ
ピアノ : 浜野与志男

前半はうっとり癒され、後半はゾクゾク興奮の充実した演奏会だった。席を立つのが惜しかった。

前半ではスクリャービンの2楽章が特に感動した。風呂上がりに柔らかい今治タオルに全身くるまれたような幸せを感じた。浜野さんのピアノは華やかさや鋭さはなかったけど男性的で朴訥とした優しい音だった。男の優しさとはこういうものだ、と教えられた感じ。ピアノの音って人柄も出るのだろうか、浜野さんはそういう人だと、勝手に思い込んでしまっている自分がいる。そのピアノを引き立てる弦もまた、女性的で繊細、美しかった。ラザレフさんの振る協奏曲はソロとオーケストラのバランスにいつも感動してしまう。今日は加えて男女の微妙な機微が絡んでいたとは。

一方で同じ弦でもショスタコーヴィチの3楽章は、心地よさよりもむしろ慟哭とも思える濁った音だった。同じ弦でもこれだけ違うのかという驚きとともに多彩なオーケストラの音に感動させられる。

とはいえ、ショスタコーヴィチでは1楽章がダントツ感動した。最初の音からすごい緊張感に引き込まれた。「侵攻のテーマ」と呼ばれる旋律の繰り返しではその迫力に圧倒された。あれだけの大編成オーケストラをかつてないほどの大音量で鳴らしてしかも美しい。ラザレフさんの指揮はとても熱いけどそれ以上に緻密で計算され尽くしているように感じる。辛口の妻もさすがに涙が止まらなかったと言う。私も興奮のあまりマスクの下で鼻水が止まらなかった。

この曲は戦争をテーマにして書かれている。しかも3楽章まではショスタコーヴィチが実際にドイツ軍に包囲されたレニングラードの中で書いた曲だ。そんな時代背景を知ってますます曲の理解が深まったのは事実ではあるが、一方で音楽そのものに感動している自分の感性も大事にしたい。自分としてはこの曲から戦争や平和に対するショスタコーヴィチの思いを感じ取って感動したのではなく、純粋に音楽を聴いて心を揺すぶられたのだと思う。これは大事な点だ。

明日はいよいよ小澤征爾音楽塾の《フィガロの結婚》だ。初めての横須賀芸術劇場も楽しみだ。なんと贅沢な週末だろう。でも早く寝ないと。

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