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日本舞踊とオーケストラ〜ペトリューシュカなど

_1_42013/10/3(木) 19:00〜 東京文化会館 大ホール
構成・演出:花柳壽輔
管弦楽:東京フィルハーモニー管弦楽団
指揮:渡邊一正

演目:
ペトリューシュカ (ストラビンスキー作曲)
展覧会の絵(清姫) (ムソルグスキー作曲、ラヴェル編曲)
プレリュード(ドビュッシー作曲、ブレイナー編曲)
  前奏曲集第1集より「亜麻色の髪の乙女」「雪の上の足跡」「沈める寺」
ボレロ(ラヴェル作曲)

_2_3たまたまNHK BSで観たペトルーシュカの舞台に感動し、発売していた今回の公演のチケットに妻が飛び付いた。西洋音楽と日本の伝統芸術の融合は、黄緑色野菜と果物のミックスジュースのように新鮮で不思議な味だった。

4つの舞台とも日本文化と西洋文化がそれぞれ特徴的に重なりあって心に残る舞台だった。

ペトルーシュカでは最初から日本舞踊のための音楽か、と思わせるほど心の底から楽しめる舞台だった。それぞれの人形の心の動きがぎこちない仕草で表現されていた。特にバレリーナ人形は日本女性そのもの、しかも何と音楽と合うことか。西洋画の背景に日本画を描くことで余計に日本文化が強調された印象。

 

展覧会の絵では、舞台の日本的な美しさと最初の和楽器を使った演奏が印象的だった。特に和楽器は古い音楽のはずなのに無調の現代音楽にも聞こえる。武満徹が和楽器を現代音楽に使いたくなった気持ちもわかる気がする。

 

プレリュードでは、森の木々を揺らす風の音が音楽と舞台を作り出していた。フランス印象派の音楽かも知れないけど日本の心でもある。

 

ボレロは圧巻。背筋がぞくぞくした。群舞によって舞台から聞こえる衣擦れの音も音楽の一部として効果的だった。テレビで観た前回の舞台では中央で一人の躍り手が躍り続けたが今回は群舞の中から次々に中央に上がって踊っていた。変化があって今回の方が面白かった。

 

ペトルーシュカはストーリー性があったため物語としても楽しめたが、それ以外は心の奥底に深く突き刺さってくるような精神性を強く感じた。言葉にするのは難しいけどなんだか気持ちを揺さぶられる、という。これが本当の芸術か。日本人であることを誇りに思えるような、不思議な感覚だ。

 

東京文化会館で演奏を聴くのは久しぶりだった。オペラハウスのような馬蹄形であることを改めて思い知った。今回は4階席の3列目、舞台に向かって右側。手すりが低くて最前列でも邪魔にならない分ちょっと怖くてお尻がムズムズするが、そのわりには音がすぐ近くで聞こえる。音ってやっぱり上に上がってくるんだ。響きはかなり控えめでサントリーホールとは両極端の性格と感じる。ウィーンの国立歌劇場に近い。そのせいかドビュッシーの音楽はくっきりはっきりしすぎてちょっと残念だった。もう少し演奏で工夫できないのかな。建物の歴史もあり、ウィーンほどではなくとも重厚感もある。ここでオペラを楽しむのもいいなぁ。でもオーケストラの演奏は華やかさを感じることがほとんどなく、ちょっとした間違いも目立つので演奏者は辛いかも。これだけ響きが違うと同じ演奏者でもホールによってバランスや音量を変えるのだろうな。

 

今日の東フィルの演奏を聴いて思ったのは、そんなごまかしの利かないホールであることを考えた上でも、毎月聴いている日フィルの演奏ってかなりスゴイ、ということ。何年もステージの近くで聴き続けてヒイキが入っていることは否定しないけど、演奏の勢いというか何か熱いものを感じるんだな。

 

ともかく刺激的な体験であったことは間違いない。またこんな機会があるといいな。

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