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フランシスさんのアダムス、ブリテン、チャイコフスキー

12/8(土) 16:00~ サントリーホール
日フィル 第646回東京定期演奏会

アダムス  主席は踊る~オーケストラのためのフォックス・トロット
      (オペラ《中国のニクソン》より)
ブリテン  シンフォニア・ダ・レクイエム 作品20
チャイコフスキー 交響曲第4番 ヘ短調

指揮  : マイケル・フランシス

だいたい素晴らしい演奏会に出会うと胸キュン状態になって、何々の楽器は音をはずしただとかという些細なことは気にならなくなる。でもそういう演奏会に遭遇する可能性は高くはないし、有名な指揮者だからといって必ずそうなるとも限らない。ましてや前後半通してハートが釘付け状態になることはまぁない。

でも今日の演奏会はそんな感じだったな。
フランシスさんの日フィルデビューの演奏会と知り、そんなに息の合った演奏は期待できないと思い込んでいたが大間違い。予想もつかないいい演奏に出会えるのがオーケストラ音楽の面白いところかもしれない。選曲も演奏も素晴らしかった。

まず感動したのは弦の音の多彩さ。まずはブリテンの出だしでたまげた。ティンパニの強打に胸が締め付けられたがその後の弦の静かで優しい響きはかえって不安な気持ちを煽る。一転して泣き叫ぶような弦の響きは辛さや苦しみを訴えかけるようだ。かと思えばチャイコフスキーでは甘くて暖かい響き。かつて日フィルでこれほど表情豊かな弦を聴いたことがあったかなぁ。ええっこんな音できましたか!?と驚かされること数回どころではなかった。

次には音量のコントロールの見事さ。前にも書いたブリテン出だしのティンパニの強打とその後の静かな響きのギャップ、大きい音でも美しさを保ち、小さい音は丁寧に優しく、コントラストがはっきりしている。ブリテンの最終楽章はまさに「救いの美しさ」だと思うが、消え入るような最後は特に緊張感があって息をのんだ。

さらには唄う旋律。チャイコフスキーの第2楽章は超メランコリックでありながら嫌味ではない。オーボエの旋律が色々な楽器に引き継がれていくが微妙なテンポの揺らぎがあり人が歌っているよう。

こんなフランシスさんの指揮はまた見ていてとてもおもしろい。全身の動きで音楽を伝えている感じ。アダムスやブリテンでは比較的拍子をしっかり取った私たち素人にもわかり易い指揮だったのに比べチャイコフスキーでは流れるような美しい姿。その第3楽章では指揮棒を置き弦楽器の小刻みなピチカートを見事に揃えていた。あのような曲こそ指揮棒が要るのでは、と考えるのは素人の浅知恵なのか。また何度も書くがブリテンの出だしのティンパニではラジオ体操の「胸を開く運動」のような動きをし、見ていて何を伝えたいのかわかり易い指揮であった。

世界中にはまだまだ若くて素晴らしい指揮者がいっぱいいるのだ。そんな指揮者が日フィルと化学反応を起こしてゾクゾクするような演奏を聴かせてくれるのが楽しみだ。フランシスさん、是非また来てくださいね!

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