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山田さんの正指揮者就任披露演奏会

11/10(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第645回東京定期演奏会
(山田和樹 正指揮者就任披露演奏会)

野平 一郎      グリーティング・プレリュード
ガーシュウィン    ピアノ協奏曲ヘ調
ヴァレーズ      チューニング・アップ
ムソルグスキー(ストコフスキー編曲)
           組曲《展覧会の絵》

指揮  : 山田 和樹
ピアノ : パスカル・ロジェ

録りためておいた山田さん指揮+パリ管弦楽団のチャイコフスキー交響曲6番を歯磨きしながら観ていたら、なんともいえない切ない旋律についつい引き込まれてしまった。日本人だけが持つ音楽の感性というか、こぶしの効かせ方というか、そういうものが曲から湧き出ているようで、昔から知っている曲なのにとても新鮮に感じた。こういう驚きや感動をもらえる演奏に出会えると、それが世間一般の評価と違っていたとしても、とてもうれしく思う。

今日の演奏もとても面白かった。選曲が多彩でわくわくする。日フィルは近現代の曲のほうが似合うのではないか、と常々思っていたが、今日もそのように感じた。

いつものように1曲目の野平さんにはいまひとつ気合が入りきっていないんじゃないの?なんとなく音がまとまってない!って思いながらも、曲自体がとても面白く、最後の旋律が出てくるまでわくわくして聴いた。不気味な無調の現代音楽と最後の旋律のギャップが面白い。
こんな曲を誕生日に聴かされたらうれしいだろう。コンサートミストレスの江口さん、音が素敵。

ガーシュウィンはノリノリのオーケストラときれいな音のピアノのコンビネーション。コテコテのアメリカ音楽と繊細なピアノの組み合わせがいい意味で異様な雰囲気だったがロジェさんの音は素敵だった。アンコールで弾いてくれたサティもよかった。私は江口さんのほぼ正面からしか見えないが、身体の動きが小さいけど明瞭で、素人の私でも思わず呼吸を合わせたくなった。ははぁ、これがコンマスの仕事かと。オーケストラのメンバーはどう感じているのだろう。

ヴァレーズは一番楽しかった。演奏会前に録音を聴いていたときはピンと来なかったけど、生で聴くとオーボエが立ち上がって演奏するなど視覚的効果もあってか、また演奏者はきわめてまじめだというところがまた面白く、納得。

ストコフスキーさんの《展覧会の絵》は編曲の違いを楽しませていただいた。演奏も素晴らしいものだった。マーラーか!?と思わせるほどの大編成、華やかなラヴェル編曲とまた一味違って、ストコフスキーさんの素朴で泥臭い編曲もまたよし。弦の迫力と美しさが私としてはとても気に入った。

しかし山田さん、カッコイイ。3年契約とのことだけど、どうかもっと長く務めて日フィルをさらに飛躍させてほしい。たとえばウィーンフィルのような最高技術の演奏を聴くのもいいけど、今日はどんな演奏になるのだろう、来年はどんな驚きをもたらしてくれるのだろう、とわくわくするのもまたいい。岩手出身の西洋画家で日本にフォービズムを持ち込んだと言われる萬鉄五郎も最期までいろんな挑戦を続け、画風を変えていった。その過程がまた、観ていて面白い。日フィルの創り出す音楽もまたその変化の過程を楽しみたい。私自身もまた、変化を恐れないよう生きていきたいものだ。

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