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サイトウキネンの「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(追記版)

8/19(日) 16:00~ まつもと市民芸術館
SAITO KINEN FASTIVAL MATSUMOTO 2012

オネゲル 「火刑台上のジャンヌ・ダルク」

ジャンヌ・ダルク:イザベル・カラヤン
修道士ドミニク :エリック・ジェノヴェーズ
語り       :クリスチャン・ゴノン
ソプラノ独唱  :シモーネ・オズボーン
ソプラノ独唱  :藤谷佳奈枝
アルト独唱   :ジュリー・ブリアンヌ
テノール独唱  :トーマス・ブロンデル
バス独唱    :ニコラ・テステ

合唱:SKF松本合唱団、栗友会合唱団、SKF松本児童合唱団
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮:山田和樹

Img_0731_妻の強い願いが叶い何とかwebでチケットを入手。
初めての松本行き、初めてのサイトウキネンの演奏会。朝横浜を発って夜遅く帰宅だから翌日の仕事はええい仕方ない、休みボケだと言ってテキトウに流すか、と腹をくくった。
気合の入れ様も今までとは違う。DVDを購入した上に歌詞とセリフの対訳欲しさにCDを購入。妻は勉強中のフランス語を駆使してセリフを覚え込んでいる。反面私は「ジャンヌ・ダルクって何やった人?」って疑問から始まったから本で歴史の勉強。往復の電車賃も入れればかなりの投資だ。音楽の甘い罠。

演奏会前に立ち寄った美術館や食べ物の件は別の機会にするとして、忘れないうちに演奏会の記憶をメモしておきたい。

合唱、とにかく合唱がスゴかった。ジャンヌを非難して呪う国民、ランスに向かう王を喜ぶ国民、対照的なキャラクターを見事に歌い分けていた。迫力だった。独唱も声量充分で圧倒された。
オーケストラは期待通り弦の力強さに感動。あれだけの管楽器の音量に負けていない。音の厚さといったらいいのか、中低音のグワーンという響きがたまらなかった。曲の前半のどの部分だったか、ピチカートひとつとっても存在感があり、さすが、と思った。CDで聴いたカーネギーホールでのブラームスの1番でたまげた、あの弦の音を生で聴いた感動で震えた。

メシアンのトゥーランガリラ交響曲で使われているオンドマルトノ(原田節さんの演奏でした)の音がどのように使われるか楽しみにしていたが、トゥーランガリラと違い、控えめに響かせていた。効果としては充分で嫌みがなく好感が持てた。

ウィーンでオペラを観た時も思ったけど、舞台上の演技に見とれて耳がおろそかになる自分が悔しい。素晴らしい演奏と舞台を同時に楽しむ贅沢。そしてそれらを楽しみ切れない悲しさ。どうしたらいいのだろう!

Img_0733ところでステージの話。趣向が面白かった。オーケストラピットの周りに通路上のステージがあり、シーンによっては出演者はかなり客席に近くなる。残念ながら私の席は3階でオーケストラとステージが半分隠れ全てを観ることはできなかったが1階のフロア席から観たらさぞかし圧巻だろう。役者さん?は人数が絞られシンプルにしている印象を受けた。トランプゲームのシーンでは4人の戦いのはずだが多分(ステージがよく見えなかったので)2人だったし、王様や妃はいなかったし、ウルトビーズと酒樽母さんのシーンも2人のセリフを1人で喋っていた。演出によって色々な表現ができることを知った。



_ホールについて。テレビの映像で見たときはすごい大きなホールをイメージしていたが、実際は座席数最大でも1,800とのことなので海外のオペラハウスと同じくらいなのだろう。音はウィーンの国立歌劇場で初めて聴いたときのような違和感は感じなかったが、やはり他の国内のホールに比べるとずいぶん響かないと思った。その分声が聴きやすかったと思う。前にも書いたが3階席とはいえ2列目だったので期待していたのだが、ステージが前にせり出していたため半分くらいしか見えず、また最前列に座っている方々が身を乗り出しているのでさらに見えない。「B席なのだから文句いうな」ということなのかもしれないけど、こんなに見えないのに2万円近く払ったのか、という思いも隠せない。日本で質の高いオペラを楽しむには経済的にとても厳しいものがある。

演奏について残念だった点がふたつ。コション(豚)の声量がもう少し欲しかったこと、イザベルさんの声が(お父さんに似て?)ダミ声だったこと。ただ豚さんはオーケストラが強奏の時だったから仕方ないかも。またイザベルさんは好みの問題と思う。現に妻は家にあるDVDより良いと言っている。

とてもうれしかったのは、小澤征爾さんが客席で聴いているのを見れたこと。開演前に観客の拍手とともに席に座り、最後はカーテンコールに入ってくれた。元気そうに見えたのでとてもうれしかった。いつか、小澤さんの指揮で素晴らしい演奏を聴かせてください!小澤さんと同じ空気のなかで小澤さんの魂が入ったジャンヌダルクを聴いたことは感動だった。サイトウキネンフェスティバルや草間彌生を見事にフィーチャリングしている松本という街に敬意を表しながらスーパーあずさの最終電車で松本を後にした。

いつか、サイトウキネンのオーケストラコンサートを聴きたい!そう思いながら。

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