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インキネンさんのマーラー5番

4/7(土) 16:00~ サントリーホール
日フィル 第639回東京定期演奏会

シベリウス  付随音楽《死(クオレマ)》
マーラー   交響曲第5番

指揮  : ピエタリ・インキネン

マーラーの響きを実感できた演奏会だった。少しずつマーラーの音楽がわかってくるような気がしてとてもうれしかった。

我が家にはショルティさん+シカゴ響、ベルティーニさん+ケルン放送響、バーンスタインさん+ウィーンフィル、の録音がある。マーラーの交響曲は長くてCD聴くのも疲れて集中力が持たない。だから「マーラー好きです」なんて自慢げに言うのは恥ずかしく、また3つの演奏の違いなどどこまでわかっているか自分でも怪しいところがある。それでも「熱い」ショルティさん、「クールで知的な」ベルティーニさん、「ワイルドで濃厚な」バーンスタインさん、というイメージを持っている。今日の演奏は「ねっとりとした」インキネンさん、という印象を受けた。録音と比較するのは演奏する方に失礼かもしれないけど、演奏者によってこれだけ大きく印象が違うとは驚いた。またそれがマーラーの魅力のひとつかもしれないと思った。

なぜか演奏前に指揮棒を落としたインキネンさん。あれれ、と目を奪われているうちにオッタビアーノさんのトランペットが鳴り響いたのだが、インキネンさんの指揮棒は動かず。出だしはトランペット任せか。トランペット協奏曲みたいだと思った。

身体にまとわりつくようなとしたテンポとトランペットソロに続く大音量にゾクゾクした。弦の音量も負けてなくてかつ美しく、これがインキネンさん+日フィルの5番か、と思った。また爆発的な大音量でもうるさくならない演奏は毎度本当に素晴らしいと思う。ただ昨年9月のインキネンさんのマーラー3番で感じた大きなテンポの揺れはあまり感じず、ねっとりしつつもクールな演奏だったように思う。

自分のつたないボキャブラリでは表現しきれないけど、大音量と微弱音のコントラスト、マーラー独特の不思議な響き、そんなものを身体全体で受けるとすこしだけマーラーの交響曲の素晴らしさがわかってくるような気がする。マーラーはCDで繰り返し聴いてもわからないことが多すぎる。生演奏を聴く回数がそのまま比例して曲の理解につながっていく、そんな気がした。

私は1楽章の演奏が特に素晴らしかったと思ったけど、他の楽章もみな素晴らしく満足させていただいた。いろんな旋律が現れては消え、苦悩と思えば歓喜、かと思えばまた暗くなり。そんなキチガイのような音楽をなんとも魅力的に響かせていたように思う。

シベリウスも良かった。曲順が変わったのは自分にとってうれしかった。なぜなら後半の2曲(鶴のいる風景、悲しきワルツ)が特に素晴らしかったから。特に鶴のいる風景はとても美しかった。ささやくような弦が本当にキレイだった。ブラボー!

先月みなとみらいでブラームスを聴いてホールの音が少しもの足りなく感じた。今回「ホームポジション」であるサントリーホールのステージ横で聴いてみてやはりココがいい!って思った。音が華やかに感じる。

来月、佐渡さんの指揮でマーラーの6番が聴ける。楽しみ。またすこしマーラーへの理解が深まればいいんだけど。

そういえば、日フィルの公益財団法人認定に向けて、先日ささやかながら妻と2人分の募金を振り込ませていただいた。何とか危機を乗り越えて演奏を続けて欲しい。毎回お金で買えない素晴らしい体験をさせていただいている。私のささやかな楽しみを奪わないでほしいし、日フィルの音楽が世の中の多くの人々を支えていると思うから。

もうひとつ。ホルンの福川伸陽さんの退団、とても残念。甘く切ないホルンが日フィルで聴けなくなった。でもきっときっと穴埋めしてくれるに違いない。今日のホルンも迫力満点だった。福川さんのご活躍を期待すると同時に日フィルホルンがんばれ~

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