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山田さんの「フランス」

12/10(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第636回東京定期演奏会

ドビュッシー  牧神の午後への前奏曲
モーツァルト  交響曲第31番 ニ長調《パリ》
ベルク     《ルル》組曲
ラヴェル    ラ・ヴァルス

指揮    : 山田 和樹
ソプラノ  : 林  正子

後半がよかった!

ベルクのCDはラトル指揮バーミンガム市響の録音を聴いていたがただ不気味なだけに感じ、何を拠り所に音楽を楽しんでよいかわからなかった。うーん、ベルクは苦手。でも今日の山田さんの生の演奏を聴いてドイツっぽい重厚な音の響きを感じることができたこと、また不気味さの中にも少しの色気と妖しさを感じることができたことが収穫だった。もしかしたらベルクは理想化された美しさではなく、汚さと表裏一体の本来の人間の美しさを表現したかったのか、と思った。その理解が正しいかどうかは別にして、そういうことが感じられたということは自分にとっては山田さんの指揮は良かったのだろうと思う。第一、まず爆睡だろう、と思っていた曲に聴き入ったのだから。
林さんのソプラノもすごい迫力だった。座席はステージの真横だったが正面から聴いたらさぞかしスゴイのだろう。

ラヴァルスはずっと生で聴きたいと思っていた曲。想像とおり素晴らしい演奏だった。山田さんの指揮は美しく、まるで女性とワルツを踊っているように見えた。活き活きとした表情からこの曲に対する自信が伺えたし、その通り素晴らしい演奏だった。そういえば曲の最初、指揮棒を振り下ろす直前の客の咳に反応していたのを見た。こういう繊細さは好きだな。

ドビュッシーはプレトークで山田さんが語ったように、印象派の絵のような輪郭のはっきりしない演奏を期待していたけど音が硬かったように感じた。弦楽器群の音が原因だったのではないかと思うのだけどよくわからない。山田さん+日フィルならもっと雰囲気のある音が出せるのではないかと思った。もやっとした弦の音から管のあの妖しげな主題が浮かびあがってくる、次のチャンスではそんな演奏を期待している。

モーツァルトの曲は好きだけど、演奏会で満足できる機会にはなかなか出会えない。ホールが大きすぎることが原因のひとつだと思うけど、それ以外に、譜面に書かれていること以外に指揮者が込める思いを織り込む余地がほとんどないのではないか。技術的に上手な演奏であってほしいとは思うけど、それだけでは日フィルの演奏会に来る意味がない。モーツァルトを演奏会で楽しむコツ?をつかみたいものだ。

プレトークで山田さんの優しいお人柄が伝わってきてますます好きになったが、演奏を聴いてもっともっとすごい演奏を聴かせてくれるだけのポテンシャルも強く感じた。ますます海外で活躍して腕を磨き、今後も日フィルで演奏を聴かせて欲しいと思った。

来週の日曜は佐渡さん+東フィルの第九だ。東京オペラシンガーズのパワフルな合唱と佐渡さんの熱い指揮に期待している。

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