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藤岡さんのカルミナ・ブラーナ

9/10(土) 18:00~ 横浜みなとみらいホール
日フィル 第270回横浜定期演奏会

リスト ピアノ協奏曲第2番 イ長調
オルフ カルミナ・ブラーナ

指揮: 藤岡 幸夫
ピアノ: ヴァディム・ホロデンコ
ソプラノ: 安井 陽子
テノール: 高橋 淳
バリトン: 萩原 潤
合唱: 日本フィルハーモニー協会合唱団
児童合唱: シンフォニーヒルズ少年少女合唱団


 いいホール、いい演奏。2週続けていい思いをした。最初から最後まで背筋がゾクゾクしっぱなしで最後はコーフンして鼻水が止まらなかった。

 この演奏会の前に学生時代にお世話になったクラシックギターの仲間の演奏会に久しぶりに立ち寄った。アマチュアだからひとりひとりの技術的な問題があるにしても、たった数本のギターで合奏しただけで音が揃わずお互いの音を曇らせてしまっているのがもったいなかった。反対にプロだからと言ってオーケストラでいい演奏をするのは簡単ではなさそうだ、と改めて思ったりもした。しかもカルミナ・ブラーナは大編成のオーケストラに加えて独唱と合唱が加わるのだから神業だ。


 アマチュアの演奏と比較したからではないが、今日もいい演奏だった。出だしこそオーケストラも合唱も固くなって音量が少し足りないかな?と感じたものの、曲が進むにつれてどんどん迫力が増してきた。

 まずすごいな、と思ったのは指揮者の藤岡さん。変化に富んだ各部分のテンポは指揮者の頭の中に刻まれているのだろうか。自宅では名盤といわれるヨッフム指揮の1967年録音のCDを聴いていたが、自分の中では今日の演奏のほうが良いと感じるくらいだ。ベートーベンの交響曲を聴いているような、リズムをしっかり刻んだ質実剛健な響きも心地よい。独唱の伴奏、合唱の伴奏、オーケストラ中心で鳴らすとき、それぞれの音量がコントロールされお互いを邪魔していない。演奏の一体感、ってこういうところに感じる。

 独唱の方々も素晴らしい。ソプラノの甘い歌声と迫力のある高音、酔っ払いテノールの生々しくも張りのある声、歌う音域が広そうなバリトン。合唱は少年少女も含めて楽譜を見ていない。全部覚えたのだろうか。たしかラテン語だったはずだけど。

 ベートーベンのように内証的に厳しく自分を見つめて苦悩から歓喜へと向かう昔ながらの交響曲と違い、人生楽あれば苦もある、酒好きも女たらしもそれも人間の生き様なんだ、そんなメッセージを感じる曲だった。生を聴いて初めてこの曲の良さを感じることができた気がする。

 前半のリストもいい演奏だったのですこしだけ。ピアノが骨太で迫力があった。後半のカルミナ・ブラーナですっかり印象が薄くなってしまい、独奏者がかわいそうでもあった。

 ホールについて。席が取れたのは3階席真ん中の一番後ろの方だった。直前に壁があって身を乗り出さないとステージが見えない。NHKホールの3階席と比べるとずいぶん高い位置だ。ウィーン国立歌劇場で桟敷席からステージを見下ろしたような、そんな感覚。響きはサントリーホールのような華やかな反射音ではなく上品さを感じた。その分、それぞれの楽器の生の音がこちらまでびゅんびゅん飛んできて距離を感じさせない。リストのチェロのソロやカルミナ・ブラーナの独唱など小さい音でもとても良く聴こえた。サントリーホールの後ろの方のような疎外感も感じない。いいホールだな、と思った。でももう少し椅子の前の壁を低くしてください。

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