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沼尻さんのショスタコーヴィチ、そしてロシア

6/18(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第631回東京定期演奏会

ストラヴィンスキー  交響的幻想曲《花火》
チャイコフスキー   ピアノと管弦楽のための幻想曲
ショスタコーヴィチ  交響曲第10番 ホ短調

指揮  : 沼尻竜典
ピアノ : 小川典子

改めて、生の演奏はいいなぁ、と思えた演奏会だった。
特にショスタコーヴィチはよかった。

指揮者と曲目変更のために慌てて入手した録音はLadislav Slovak指揮、zecho-Slovak Radio Symphony Orchestraだったが、この録音より今日の演奏はずっと素敵だった。ねっとりと怨念のようなものを感じた。また通勤時には騒音に紛れて聴き取れないような微小音から爆発的な大音量までメリハリをつけた演奏だったと思う。

静かに始まり盛り上がってまた静かに終わる第1楽章。最後が少し硬くて残念だったけど全体的にはよかった。弦が悲痛な叫びと言おうか、絶望感と言おうか、そんな感情を表現しているように感じた。もうひとつ残念だったのはホールに残響が残っているうちに指揮棒をおろしてしまったこと。まだ音聞えているのに~って思った。

第2楽章はほかの3つの楽章に比べて大音量で突っ走る楽章だ。これこそ生演奏の迫力。かっこよかった。録音では絶対感じることができない。

第4楽章でようやく明るい主題が出てきて元気に終わる、ってなんとなく思い込
んでいたけど、今日の演奏を聴いて気がついたのは最後に明るい旋律は否定されているのではないか、ということ。スターリンの死によって新しい時代が始まる、そんな明るいエンディングではないように感じた。こんなことまで考えさせてくれた今日の演奏は、自分にとって好演だったのだろう。

ストラヴィンスキーも良かった。プレトークで花火が上がることを描写していると聞き、なるほど、と思った。大太鼓でそれが聴き取れた。とても華やかな曲で、ディアギレフがこの曲を聴いてストラヴィンスキーに火の鳥を委嘱したことを知って聴くと、改めてすごい曲だ、と思った。残念だったのはなんとなく全体的に雲がかかったような感じがしたこと。日フィルだったらもう少しシャープで色彩感のある演奏ができるのではないか、と思った。

チャイコフスキーはやや勉強不足で、あまり好きになれないまま演奏を聴いた。どうしてかな、って改めて考えてみると第1楽章のカデンツアが長すぎだと思う。飽きてしまった。逆に第2楽章はタンブリンが入るところから第3楽章になるようで面白い構成だと思った。ピアノの小川さんの音はとても迫力があり素敵だった。今までピアノの音がはっきり聞えないと思っていたのは、やっぱり座席のせいではない、と確信した。チェロの菊地さんの音もとてもきれいでうっとりした。演奏後、「立てよ」「やだ」「いいから立てって」「ヤダ」そんな風に見える指揮者の沼尻さんと菊地さんがこっそりやり取りしているのに気がついて、思わず吹いてしまった。菊地さんのお人柄が伝わってきた。

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