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山田和樹さんのマーラー4番

4/23(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第629回東京定期演奏会

マーラー   花の章
モーツァルト クラリネット協奏曲 イ長調
マーラー   交響曲第4番 ト長調

指揮    : 山田和樹
クラリネット: 伊藤寛隆

 インキネンさんの代役を快諾してくれたという若い山田さんの指揮に期待して1月の定演以来の自分の席に着いた。

 山田さんはコバケンさんに師事していたとのことだが、モーツァルトはとても繊細で(コバケンさんが繊細ではないという意味ではなく)指揮棒の先が微かに揺れる程度。こんなのでオーケストラはわかるのかな、とちょっと不安になったくらい。一方マーラーの4番は身体全体で表現豊かに振りつつも冷静で知的な感じ。なんだかカッコイイ。

 花の章、モーツァルト、4番、3曲通して穏やかな選曲だったせいなのか、演奏前の理事長さんの挨拶にあったように被災者への思いのせいなのか、今日の演奏はとても穏やかで繊細に聞こえた。指揮者とオーケストラの一体感や演奏に対する思い入れを感じることができ、日フィルのいいところが強く出た演奏だったと思う。

 花の章はトランペットとホルン、オーボエがとても甘い音を奏でていた。特にホルンの音は素敵だった。いい歳して胸がきゅんとなってしまった。こういう音を聴かせてもらうと本当にうれしくなる。感謝です。

 モーツァルトのクラリネット協奏曲は良さがよくわからないまま当日を迎えてしまった。メリハリがないというか、平和で穏やか過ぎる。私もまだまだ若造でモーツァルト最晩年の心境が理解できていないということか。加えてもともとクラリネットの音はのんびりした感じであまり好きではない。
 とはいえ、演奏は花の章にも増してまた一段と優しい響きだった。久しぶりに生でモーツァルトを聴いて心が暖まった気がする。クラリネットの伊藤さんも心を込めて演奏しているのが強く伝わってきた。有名なソリストを連れてくればよいというものではないと改めて思った。特に2楽章の美しさは格別。苦しみを忘れて天国にいるようだった。今日のクラリネットの音はバセット・クラリネットだったせいか音が澄んでいて、心地よく感じた。
 演奏規模はとても小さく、いつも見えないコントラバスも含めて演奏者全体が見渡せた。サントリーホールは音がとても響くのでモーツァルトのような小さい規模の演奏には少し大きすぎるのかもしれない。小さなサロンのような音がもう少し響かないところで聴いてみたいと思った。

 4番は第1楽章が特に素敵に思った。マーラーは後期ロマン派と言われ、その中でも4番は古典的と言われ、知識として頭に記憶しても曲が理解できているわけではない。モーツァルトやベートーベンのように、もしくはテレビの刑事ドラマのようにスッキリ感は持てない。次々と慌しく情景が移り変わっていき混沌としていく中で曲全体の統一感を出していくのはとても難しいことなんだろうな、と演奏経験のない私でも思う。でもそれがマーラーの曲を楽しむひとつのポイントだったりするのかもしれない。今回インキネンさんがマーラーを取り上げるにあたり1番、6番、4番を繰り返し聴いてみて、そして今日4番を生で聴いてみてマーラーの良さがまた少しだけわかったような気がした。
 2楽章はコンサートマスターがバイオリンを持ち替えて演奏。硬質な音を出すために少し高く調弦しているとのこと。どんな音を聴かせてくれるか楽しみにしていたが、少し期待はずれだった。せっかく調弦を変えて演奏しているのに他のバイオリンや楽器に埋もれてしまっているように感じた。もう少し気持ち悪さみたいなものを感じられたらよかった。
 3楽章も4楽章もとてもきれいな演奏だったと思う。指揮者の緊張感も伝わってきた。4楽章はソプラノが入ったが私の席は真横から聴くため反射音しか聞えない。オーケストラや指揮者の息遣いが伝わる良い席ではあるのだが毎度声楽が入ると残念なことになる。4楽章の最後、消えるように音が小さくなっていくが観客のマナーがとても良かった。指揮者が手を下ろすまで静寂が保たれ、緊張感がある曲の最後に感動した。

山田さん、次回も楽しみにしています。ラベルのラ・ヴァルスは大好きな曲です。
今回とはまた違う色を見せてくれることを期待しています。

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