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インキネンさんのマーラー1番

12/11(土) 16:00~ サントリーホール
日フィル 第626回東京定期演奏会

シベリウス 組曲《クリスティアン2世》作品27
マーラー  交響曲第1番 ニ長調 《巨人》

指揮 : ピエタリ・インキネン

何も、日フィルさん、ブルックナーの翌月にマーラーじゃなくてもいいのにな、などと文句を言いながらも、学生の頃500円で買ったCDを引っ張り出した。SIR GEORG SOLTI, London Symphony Orchestra, 1964, と書いてある。今までほとんど聴く機会のなかったマーラーだが、何度か聴いているうちに何だか「はまって」きた。どうせ6番も聴くから、と自分に言い訳しつつ、マーラー交響曲全集を買った。ベルティーニ、ケルン放送交響楽団。1番はなんと、サントリーホールでのライブ録音。2枚の録音状態がまったく違うので、再生された音から演奏を聴き比べるのはフェアじゃないと思うけど、ずいぶん違ってびっくりした。ベルティーニさんの演奏はとても優しくて暖かい音に感じた。それと同時に時にはベートーベンか何かを聴いているのかと錯覚するくらいカッチリしたものを感じるところもあった。


渡辺裕著「マーラーと世紀末ウィーン」(岩波現代文庫)を軽く読み返した。1番は1889年のブタペストでの初演から10年以上も観客や批評家の理解を得られなかったという。フラジョレットが長く続く第1楽章の序奏は当時理解されず、演奏中に笑い声を上げた観客もいたという。そんな曲を2010年の今、私は興味を持って聴いている。初演から120年余、という時の流れを改めて感じると同時に、それが音楽の魅力のひとつかもしれないと思った。

演奏会が終わって改めて思い返してみると、品の良さを感じる演奏だったと思う。30歳という若さのインキネンさんなのでもっと過激にガンガン鳴らすのかと勝手に想像していたが、どちらかというと控えめで、鋭さよりは優しさと美しさを感じた。たとえば2楽章はうねるようなこぶし?がきいた弦がとても美しかったし、3楽章のコントラバスのソロや様々な旋律もテンポの揺れが心地よかった。中間部の弦も甘く切なく響いていた。

第4楽章も素晴らしかった。楽章が進むにしたがってどんどん演奏が乗ってきているのを感じた。ただ突っ走るのではなく、フィナーレの音量から逆算して前半をしっかり抑制しているように感じた。フィナーレの大音量もバランスよくうるさくなく、知的な演奏だと思った。

生を聴いて初めて感じたのは、第4楽章のフィナーレでいままで立ち込めていた霧が急に晴れて音がクリアになること。なんともいえない爽快感がある。この曲の人気の秘密はここか、と改めて感じた。

逆に残念だったのは第1楽章の序奏。フラジョレットに重なってカッコウの鳴き声や角笛などが脈絡なく出てくるところで、シュールな感じやヨーロッパの森のミステリアスな雰囲気を感じたかったのだけど、またまた自分の思い込みが激しすぎたみたい。加えてなんとなくオーケストラが乗り切れてないように感じた。楽しみにしてたのにな。

何はともあれ、終わりよければすべてよし?爽快感を胸に帰路につきました。未練がましくアンコール曲がなかったのも良かった。

前半のシベリウスはすっかり眠りの深い森に入り込んでしまった。決して嫌いではないのだけれど、木曜、金曜と2日続けての忘年会で疲れが出たかな。あぁ残念。

少なくとも今回の演奏会は、真剣にマーラーを聴いてみようかな、なんて思うきっかけになったのは間違いない。

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