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エッティンガーさんと東フィルの第九

12/26(日) 15:00~ 東京オペラシティコンサートホール
東京フィルハーモニー交響楽団

モーツァルト モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」
ベートーベン 交響曲第9番 ニ短調「合唱付」作品125

指揮 : ダン・エッティンガー
ソプラノ: 森 麻季
アルト : 谷口 睦美
テノール: シー・イージェ
バリトン: 堀内 康雄
合唱  : 東京オペラシンガーズ

何年か続けてN響の第九を聴いてきて、昨年は初めて日フィル+コバケンさんの第九を聴き、今年は初めて東フィルの第九を聴くことにした。まだまだ若そうなエッティンガーさんの指揮は初めての体験。どんな味付けの第九を聴かせてくれるのだろう。オペラもこなす東フィルはどんな音を奏でるのだろう。東京オペラシティでコンサートを聴くのもとても久しぶり。どんな響きのホールだったか。何かと楽しみなコンサートだ。

最初に第九を聴いて感動したのは大野和士さん指揮のN響の第九をテレビで観た時だ。その後N響の第九を聴きに毎年年末にNHKホールに通うようになり、多くの指揮者でN響の第九を聴いた。しかし回数を重ねる毎にだんだん違いがわからなくなってきた。指揮者が変わってもそれほど演奏って変わらないのかな?そんな疑問も湧いてきた。3階席だから演奏者の熱意や迫力が届かないせいもあるかもしれない。昨年初めて日フィル+コバケンさんの第九を聴き、衝撃を受けた。ずいぶん荒削りなところもあったが、かなり濃い味付け。毎年聴くなら、「今年はどんな第九かな」って楽しみにできるような個性的な演奏がいいな、とそのとき思った。

エッティンガーさんの第九はその期待に十分応えてくれた。少なくともN響では聴けなかった演奏だったし、日フィルとも違った。テンポを大きく振って、特に2楽章ではリズムをしっかり刻み、終楽章では爆走し、まるでロックのコンサートのような演奏だった。エッティンガーさんの意思か東フィルの音なのかわからなかったが、全体的に優しさよりも強さとヘビーな印象を受けた。また金管が強めに感じた。

特に驚いたのは2楽章。ティンパニがかなり目立っていた。弦のピチカートもかなり強く、しっかりとリズムを刻んでいるように感じた。かなり元気で刺激的な2楽章だと思った。テンポも時に揺れて、それでもオーケストラは乱れなかった。強拍の出だしもきれいに揃って、とても緊張感のある演奏だった。とにかく面白かった。

3楽章もとてもきれいな演奏だったが、私としてはもっと優しく柔らかく繊細な音が欲しかった。スポーツ選手がお花畑にいるような、そんな違和感を覚えた。いや、でも悪くない。とても素敵だった。

4楽章は脱帽。こんな緊張感のある爆走した4楽章が聴けるなんて。合唱は今まで聴いた演奏に比べて人数が少なかったからちょっと心配したけどすごい声量。さすがプロだな、と思った。特に最後はテンポが上がりなだれ込むように終わった。歓喜の主題の後は、いつもデザートというか、おまけのように感じていたが今回の演奏では緊張感を維持したまま最後まで突入した感じ。すごい。

演奏の後、顔が紅潮している演奏者もいたように見えた。もしかしたら想定していたよりかなり早いテンポだったのでは、とも思った。いやいや、よかった。

さて、ホールの話。
私の席はいつもの日フィルと同じような席で、指揮者の右側を少し後ろから見る感じ。サントリーホールと比べて音がぜんぜん響かない。直接音しか聴こえてこないようにも感じた。弦の音も「ギコギコ」という生々しい音が聴こえてきてびっくりした。大きな音の後では、反響音がホールの後ろのほうに響いているのが聞こえた。う~ん、ホールによってこんなに違うのか。オーケストラがとても華やかに聴こえるサントリーホール、合唱が丸太のように飛んでくるオペラシティ、という感じ。同じ席で聴くなら、合唱はオペラシティ、オーケストラはサントリーホールで聴きたいな、と思った。でももっと後ろに座ったら違う音が聴こえるのかもしれない。次の機会が楽しみだ。

今回の演奏会を聴いて思ったのは、もしかしたら、指揮者の違いよりもオーケストラの違いの方がわかりやすいのかもしれない、ということ。技術力ではなくてそのオーケストラの持つ色とか特徴とか、そういうのって結構大きいのではないか。

もしかしてもしかすると、本番前の数日のリハーサルでは指揮者の意図が十分伝えられないこともあるのではないか。エッティンガーさんは常任指揮者として東フィルとのコミュニケーションは日常取れているはずなので、ここまで緊張感のある個性的な演奏ができたのではないか。そんな仮説も今日の演奏を聴いてふと思いついた。

いろいろ感じ、後から理屈をつけてみたけど、とにかく素晴らしい演奏だったと思う。理屈ではなく、感動できたから。

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