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広上さんのベートーベンとスクリャービン(日フィル 7月東京定期)

7/10(土) 14:00~ サントリーホール
日フィル 第622回東京定期演奏会

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番
スクリャービン 交響曲第2番

指揮  : 広上淳一
ピアノ : ファジル・サイ

日フィルのよさを改めて実感できた演奏会でした。

 ベートーベンのピアノ協奏曲第3番は以前N響で聴いたことがあったので生で聴くのは今回が2回目。1回目は「ベートーベンでしょ、はいはい、こんな感じで。指揮者はとりあえず棒振っててくれればいいですから」なんて声が聞えてきそうなN響の演奏でした。N響はうまいなぁ、ってだいたいいつも思うけど、あんまり驚きや感激がないことが多いです。今日の日フィルは第1楽章の出だしから「おっ」と思いました。強弱のコントロールというか寂しくはかなげな音を繊細に出していたように感じました。またファジル・サイさんのオーケストラに向けた視線がジャズやロックのバンドの仲間のようで、会話が聞えてきそうでした。「ハィ!続きを頼むよ」みたいな。いままで見た協奏曲のソリストとはちょっと違った雰囲気でした(そういえば以前仲道郁代さんのピアノでも同じような雰囲気を少しだけ感じたことがありました)。指揮者を見るというよりオーケストラと対話をしているような。そのせいか、オーケストラからもピアノを盛り上げたい、という気迫のようなものを感じることができました。これが日フィルのいいところだと思いました。
 ピアノの音はというと繊細さと乱暴さが同居しているようで「え~これがベートーベンですかぁ」といい意味でも悪い意味でもびっくり。カデンツァも現代的な21世紀バージョンという感じでした。ファジル・サイさんには何かと驚かされましたが、驚きこそが感動のパラメータのひとつだと改めて実感しました。
 さらにファジル・サイさんのアンコールを聴いて、なんだか今日のベートーベンを受け入れる覚悟のようなものができました。なんとまぁ色彩豊かなピアノだこと。クラッシックだジャズだというジャンルを通り越してピアノの音の美しさに魅せられました。とても現代的で色彩豊かなファジル・サイさんのピアノとベートーベンのミスマッチが今日の演奏の驚きであり感動でもありました。

 広上さんの指揮もとても素敵でした(うなり声がうるさ~い)。マメダヌキというのがぴったりな短い手足(失礼!)を駆使して指揮する姿は「こぶし」が効いた感じではありましたがいやいやとても素敵な音が響いていたように思いました。計算ずくなのでしょうが、私が大好きなサントリーホールの残響が程よく響きこれも心地よい。次の演奏会はいつかな?楽しみです。

 スクリャービンはCDで聴くより生の方がずっとよかった。3楽章の始まりのフルートとバイオリンソロの演奏は素敵でした。こんなきれいな楽章だったのかと改めて知りました。演奏機会が少ない曲だとプレトークで聞きましたがもったいない気がします。自宅に着くまで最終楽章が頭の中で鳴り響いていました。ただなんとなく全体的にザワザワ感というか音がシャキッとクリアに聞えないな、と感じたのはもともとそういう曲なのか演奏のせいなのか、それはわかりませんでした。

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