« ワインの味: Zweigelt | トップページ | 日フィル 第613回東京定期演奏会 »

あとがきに代えて: 帰国後のN響、尾高さんのエルガー(5/16)

 4/28に帰国して5/7から仕事に復帰、そして今日5/16はN響の5月定期公演。ウィーンの音に感動して帰国した耳にどう聴こえるのかな、と他人事のように楽しみにして渋谷のNHKホールに向かいました。感情が高ぶってそこにいるだけでかなり幸せな気持ちになっているウィーンでのコンサートと、1週間働いて寝不足で疲れたまま向かう渋谷のNHKホールのコンサートを客観的に比べるのは無理なように思います。偏見でもいいや、ってことで感じたことを残しておきたいと思います。

 

 尾高さんは、昨年ブルックナーの交響曲第8番を聴いてからますます好きになりました。反面通勤時に聴いていたエルガーの交響曲第2番ですがどうも好きになれない。期待と不安の定期公演でした。

 終わってみたらさすが尾高さん、期待を裏切りませんでした。前回のブルックナーでも感じましたがN響のみなさんがのびのび本来の実力を出し切って演奏しているように感じました。特に後半の交響曲第2番は感動。眠くなる暇がありませんでした。きっちりとしつつもメリハリがあって音楽の部品が設計図面通りに組み立てられている印象でした。事前の予習ではあまり好きになれなかったエルガーの曲でしたが、本番では少し良さがわかったように感じました。来年はブルックナーの7番ですね。ますます楽しみです!

 

 さてNHKホールの音ですが、やっぱり楽友協会ほどがんがん響く感じじゃないように思います。楽友協会はオペラ座で2日連続で聴いた翌日だったのでショックが大きかったことを差し引いても、やはり楽友協会ほどではなかったと思います。コンツェルトハウスと比べるとどうか、と言われると微妙。正直わかりません。どのくらいの響きが良いのか、また楽友協会とNHKホールのどっちのホールがよいのか、それは客観的データとプロの見解にお任せするにして、自分としてはNHKホールの方が聴きなれている、心地よい、と感じたことは否定できません。むしろオペラ座のデッドな響きの方が心地良かった気もします。いづれにしろホールの響きってこれだけ演奏に影響を与えるんだなぁ、とつくづく実感しました。

 オーケストラの違いはどうか。世界一流のウィーンのオーケストラと日本のオーケストラで違いを感じることができるか。結果、できました。コンサートマスターが席を立ち音合わせを始めた途端、ああ、やっぱり違うな、って思いました。一番違いを感じるのは弦。特にバイオリン。N響の音は金属的、都会的、硬質。ウィーンで聴いた3つのオーケストラの音はかび臭い木の音、伝統的、湿っぽい。次に違いを感じたのは大音量の時。ウィーンで大音量のときに不快感はなかった(楽友協会では床がビビってちょっと?って思った)けど、今日のN響では耳元で紙をくしゃくしゃって丸めた時のような不快感を少しだけ感じました。それが自分の単なる偏見なのか、技術力の差なのか、個性なのか、その辺はわかりません。今後またウィーンを訪れて日本のオーケストラと聴き比べる機会が来るのを待ちましょう。

 

 そんなわけでウィーンから帰国後に尾高さん+N響を聴き、十分感動できました。また同時にウィーンの音と日本の音の違いを感じることができました。「ウィーンで音楽を聴いちゃうと日本ではひどすぎて聴く気になれないね」な~んて感じなくてよかった。

 

 そういえば、マナーについて再考。日本人のマナーはそれほど悪くない、と改めて思った。演奏中の咳はみんながんばってこらえているし、携帯電話は鳴らさないし、おしゃべりはしない。演奏は良くても悪くても一所懸命拍手するし。日本の演奏会は日本人しか来ないからね。浅草見物した欧米人が「ここが紅白歌合戦をやるNHKホールかぁ」とか言って観光ついてにN響の定期公演に来たりしないもんね。そうは言っても「礼儀正しい日本人」はやっぱり誇っていいんじゃないかな。

 

 でもホールの大きさはもう少し考えてほしいな。NHKホールは3600人余り収容可能。楽友協会の1700人の倍です。このホールでモーツァルトの交響曲演奏するのはどうかと思うし、協奏曲はソリストの音がオーケストラに負けてしまうのではないかと思いました。東京オペラシティのタケミツメモリアルが1600人余り、サントリーホールが2000人余り。このくらいのホールだったらいいのかな、改めて聴いてみたいです。

 

P4183257_zoom_2  振り返れば「音楽」という切り口でウィーンを歩き、多くの感動と発見がありました。帰国後も今まで以上にクラシック音楽やオペラにはまりそうです。「イギリスへの寄り道」ではあったけどとても充実した旅でした。みさちん、どうもありがとう

|

« ワインの味: Zweigelt | トップページ | 日フィル 第613回東京定期演奏会 »

尾高忠明」カテゴリの記事